Something I want to share with people
東京・下町。うだつの上がらない二つ目の落語家、今昔亭三つ葉は、ひょんなことから落語教室を開くことになる。生徒は、美人だが無愛想で口の悪い五月、口は達者だが関西弁のためクラスになじめない少年・村林、そして、元野球選手の湯河原。3人は言い争ってばかりだったが、少しずつ上達していく。ある時、村林はいじめっ子と野球対決をして負けてしまう。悔しがる村林に、いじめっ子を落語で笑わせてやれ、と三つ葉は提案する。
陶芸家で大学教授の父の転勤で、京都の高校に転校してきたミン。ある日、自転車に乗っている時に転んでできた傷を神社の巫女さんが手当てしてくれた。その可憐な姿にミンは一目惚れ。彼女が同じ高校に通う、七恵だと知ると、父親がくれたナンパ用テキストで日本語を勉強し、アプローチを始める。ミンの気持ちに動かされ、二人は付き合い始める。しかし、七恵には、誰にも言えない家族の問題を抱えていた。
東京で働く咲子は、母の入院の知らせを受け、久しぶりに徳島に帰郷する。母子家庭で育った咲子は、気が強く何でも一人で決めてしまう母に寂しさを感じていた。咲子は医師、寺澤から母が献体を希望していることを知り、いらだちは募る。ある日、母の友人から箱を手渡される。中には、死んだと聞かされていた父から毎年届いていた手紙の束が入っていた。隠された母の恋を知った咲子は、東京に戻り、両親の思い出の場所を訪ね歩き…。
昭和19年秋。太平洋戦争で不利な戦況の日本軍は、最後の手段として戦闘機に爆弾を搭載し、敵艦に体当たりする特別攻撃隊を編成。鹿児島県の知覧飛行場はその特攻基地となった。軍指定の食堂を構え、飛行兵たちから慕われていた鳥濱トメは、特攻に志願した彼らを引き止める事も出来ず、戦地へと赴く若者との別れを幾度も経験する。やがて終戦を迎えた日本で、特攻隊員の生き残りと遺族は思いがけない過酷な試練を経験する事になる。
1974年、東京。江東区枝川でサンダル工場を営む叔父夫婦のもとに身を寄せるリ・アンソン一家。難病に冒された幼い息子チャンスの治療のために京都から出てきたものの、医師の下した診断は厳しく、さらに多額の費用が必要なことがわかり、乱闘騒ぎをきっかけに親友になった元国鉄職員の佐藤と命がけの計画を立てるアンソン。妹のキョンジャは稼ぎのいい芸能界に飛び込むが、人気俳優の野村と出会い恋に落ちて…。
全ての人間の手足、頭からそれぞれの糸がはるか天上へと伸びているマリオネットの世界があった。その片隅、へバロン王国では何百年にも渡り争いが続いていた。ある嵐の夜、年老いた国王カーロが頭の糸を切って自害する。自らの行いを悔い、息子ハル王子に平和を託したのだ。しかし、君主の座を狙う弟ニゾは遺書を破り捨て、敵対するゼリス一族の長、サーロの仕業と見せかける。暗殺されたと信じたハルは、仇を撃つため旅立った。
仙台に越してきたその日に、ボブ・ディランの「風に吹かれて」を口ずさみながら、片づけをしていた椎名は、隣人の河崎に声をかけられた。「あの声は、神様の声だ」。そう言いながら、河崎はおかしな計画を椎名に持ちかける。「一緒に本屋を襲わないか」。同じアパートに住む引きこもりの留学生ドルジに、一冊の広辞苑を贈りたい、と言う。椎名は翌日、河崎に言われるままに、モデルガンを片手に書店の裏口に立ってしまった……。
東京は阿佐ヶ谷で暮らす漫画家の村岡栄介、歌手の井上章一、画家の下川圭、小説家の向井竜三の4人は、ひょんなことから知り合い、栄介の母親を入院させるために一芝居を打つことになる。その後一度は離れ離れになった彼らだったが、やがて栄介のアパートで共同生活を送ることになる。そんな彼らを見守る近所の米屋の勤労青年・勝間田祐二と、章一に思いを寄せる食堂の娘・時江。そんな彼らのひと夏の物語。
小学校の卒業と同時に離ればなれになった遠野貴樹と篠原明里。二人だけの間に存在していた特別な想いをよそに、時だけが過ぎていった。そんなある日、大雪の降るなか、ついに貴樹は明里に会いに行く…。貴樹と明里の再会の日を描いた『桜花抄』、その後の貴樹を別の人物の視点から描いた『コスモナウト』、そして彼らの魂の彷徨(ほうこう)を切り取った表題作『秒速5センチメートル』、三本の連作アニメーション作品。
つぶやく