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「華氏911」

「華氏911」観てきました! とは言っても、見たのは夏だったような。あははははは。一体、どこまで放置すればいいと思ってるのか>自分。
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カンヌ映画祭で賞を取った映画だし、いろいろ話題になったので改めて僕が何か言っても関係ないのですが、一応、ここは劇場で見た映画の個人的記録にしてるので、書き込みます。あらすじって言っても、ドキュメンタリーだからストーリーラインは関係ないのですが、扱っている内容はだいたい次のとおり。1)2000年の大統領選挙のドタバタ、2)911の時のブッシュの対応、2)ブッシュ一家とビンラディン一家との関係、3)米国内の経済的2極化、4)イラクの惨状、5)そこに派遣された兵士一家、など。ちょっと911以降のことに関心がある日本の人々なら大半、知ってる情報だったと思います。

反ブッシュのプロパガンダ映画と言われがちだし、そういう面もある映画ですが、むしろ主眼はやっぱりタイトルが示唆するとおり、米国内部のマスメディアによるマインドコントロールだと思うのです。タイトルの土台になってるのは、トリュフォーの「華氏451」で、これは、近未来、政府が書籍は危険思想を著すとのことで書籍をすべて焼き払ってしまう焚書坑儒を行い、その世界での抵抗する者たちを描いた映画でした。この映画のタイトルをもじったマイケルムーアの言いたいことは、次の通りじゃないかと思われるわけです。「911以降、米国民はすっかりマインドコントロールされちまって、素直に見ていれば分かる情報も見えなくなってしまってる。見てればブッシュがいかにひどい大統領か分かるはずだ。一体、どうしちまったんだよ!」と。

しかし結局ブッシュは再選されたわけで、カンヌでパルムドールを獲得しても、たった1本の映画じゃ選挙民の信念は変わらないということでしょう。そりゃそうだ。さらに、この映画自体が揶揄の対象にされたりもして、まあ、確かに、揶揄によるブッシュ批判の体裁をとっている映画であるだけに、映画に対する批判も揶揄を招きやすいわけではあるわけだ。

だが、ちょっと考えてしまうのがアメリカの選挙民たちのブッシュを選んだ理由だと思う。多くは、同性愛者の結婚には反対だとか中絶禁止にすべきだといった、いわゆるファミリー・バリューを重んじる点など、アメリカの世界戦略とは関係ない理由で共和党を選んだらしいです。それはそれで僕は、人それぞれで構わないし、しかたがないと思うのです。問題はそういう理由でブッシュに投票した人たちではなく、国防関係のことを理解し、そこを重視してブッシュを選んだ人々。雑誌やニュースのインタビューを見ると、結構、そういう人たちも多かった模様。割とインテリな人々です。そして、彼らが言うのは、「大統領は国民の安全を第一に守ってくれる人であって欲しい。よってブッシュを選ぶ」なのでした。うぐぐぐぐ!

「国の首長は国民の安全を第一に守る」、これは自明です。誰も反論できません。問題は、このスローガンの良し悪しではなくって、ブッシュの行った選択が本当に「国民の安全を第一に」というスローガンに適したものであったかどうかなのでした。

911以降のアフガニスタン戦争やイラク戦争によってアメリカ国民は以前より安全になったのかどうか。むしろ反米的な人々が増えたし、兵士や民間人もずいぶん犠牲になったしで、危険が増しているでしょう。米国内でも、海岸警備にあたる人の話しが映画に出てきたけど、治安維持に割り当てられる人員は減ったし、経済状況も、地方都市では悪くなっている。アメリカ国内に第三世界が生まれ、内部に南北問題を抱えているような状況。そうなっているのに、「国民の安全を第一に守る、強いアメリカを維持するブッシュを選ぶ」っていうのは、とてつもなく間違っていると思うわけです。インテリで分かっているはずの人々が、そんな理由でブッシュを選ぶ。

だが、彼らはそういう風に信念をもってしまっているのでした。ここが恐ろしいですね。彼らが重視する情報は、アメリカでの(知的に高レベルの)マスメディアによるものです。ですから、そういうメディアで巧妙にマインドコントロールが行われているのでしょう。

この映画は、そこらあたりを崩そうとしてるのでした。そういう信念を持つ根拠がいかに薄弱かを手を変え品を変え訴えているのです。こりゃやっぱりいい映画だと思うわけです。そして、このアメリカの状況は日本には関係ないのか、日本のメディアで流れている情報は信頼に足るのか、などと思うのでした。

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