「僕の彼女はサイボーグ」
20歳の誕生日、祝ってくれる友達もいないジローは、街で“彼女”と出会う。最高に楽しい一日を過ごすが、誕生日が終わる頃、彼女は姿を消してしまい、それから会うことはなかった。1年が過ぎ、去年と同じように一人で誕生日を祝っているジローの前に、“彼女”は現れた。必ずまた会えると信じていたジローは喜ぶが、再会した彼女は何だか去年と違うような…。実は、“彼女”は未来から送り込まれたサイボーグだったのだ!
★★★
監督が韓国映画の人だから、こういう、どこかあざとい演出や話の展開になるのは織り込み済みで見に行った。しかし、むやみにポイ捨てや万引きや嘔吐を繰り出すのには閉口。また、途中に挟まる過去のいかにも昭和っぽい挿入も意味不明。無用と思われるシークエンスや挿入が多すぎる気がする。それによりいちいち気分がそがれてしまうのだった。そこを刈り込んで、ここはと思うところに一転集中してくれたら良作になったのにと残念でならない。この脚本は、大林宣彦に監督してもらうべき。ああ、もったいない。
「ラスベガスをぶっつぶせ」
マサチューセッツ工科大学に通うベンは夢のハーバード大学医学部進学資格を得ながら、30万ドルの学費を捻出できずに頭を痛めていた。そんな時、ミッキー・ローザ教授から秘密の研究チームに誘われる。彼は優秀な学生たちにブラックジャックの必勝法であるカード・カウンティングを習得させ、ラスベガスに乗り込んでは大金を稼いでいたのだった。学費のためにチーム入りを決めたベンは天才的な数学力を発揮する。
★★★
"Winner, Winner, Chicken dinner!"
ブラックジャックで21を出し勝利すると、この言葉をかけられるらしい。ただの駄洒落。
いまいち、カウンティングがどうブラックジャックの勝利につながるのか映画内での説明が不足していてフラストレーションが溜まった。それとカウンティングの能力とMITに通うほどの数学能力の高さがどういう関係にあるのかも。ただ、MIT周辺でのロケが多かったのは嬉しい。
「最高の人生の見つけ方」
自動車整備工のカーターと実業家で大金持ちのエドワードが入院先の病院で相部屋となる。方や見舞いに訪れる家族に囲まれ、方ややって来るのは秘書だけという2人には何の共通点もなかった。ところが、共に余命半年の末期ガンであることが判明し、カーターが死ぬ前にやっておきたいことをメモした“棺おけリスト”を見つけたエドワードはリストの実行を持ちかける。2人は周囲の反対を押し切って冒険の旅に出るのだった。
★★★★
正統的なハリウッド・ハートウォーミング・ストーリーです。原題はThe Bucket Listで、このbucketとはkick the bucket(くたばる)というイディオムの一部。「死ぬ前にしておきたいことのリスト」ということで、似たアイデアの映画が前にもありました。それからヒントを得たのでしょうか。ただ、その元ネタの映画とは異なって、老人2人にし、その2人の生き方のコントラストを中心においたのは正解と思いました。ジャック・ニコルソンは憎たらしいが憎めない(矛盾)金持ち老人を、モーガン・フリーマンは真面目な雑学マニアの善良な黒人老人を、持ち前のキャラを生かして演じていました。役柄にぴったり嵌まっています。演出では撮影監督の映画批評さんの語るとおりで、目立たぬところで巧みでした。
そうそう、ジャックの秘書が良い味を出しています。ジャックはジャックで、この若い秘書を実は有能で、信頼しているし、秘書のほうもジャックを敬愛しているのですが、表面的には、けなしあってる感じ。その2人の真意を伝え合うところのセリフがあって、秘書の有能な気の配り具合にジャックが
"Thomas, I'd realy like to say you are irreplacable. But l'll be lying."(トーマス、わしは心からお前はかけがえのない人物だと言いたいよ。でも、わしは嘘をつくからね)
と言い、それを受けて秘書のトーマスも
"And I'd really like to say you're a gracious man, and that I love my job, but I too will be lying."(私も、あなたは好意に満ちたお方で、私はこの仕事が大好きだと言いたいのですが、私も嘘をつくんです)
と応酬して、見事なツンデレぶりを示しあうのだった。
「アフタースクール」
母校の中学校で教師をしている神野と、サラリーマンの木村は中学時代からの親友同士。産気づいた木村の妻を、仕事で忙しい木村の代わりに神野が病院まで送りとどけた。その日、夏休み中だが部活のため出勤した神野のもとに、同級生だという探偵が訪ねてくる。島崎と名乗る探偵は木村を捜していた。若い女性と親しげにしている木村の写真を探偵に見せられた神野はショックを受け、なかば強引に木村捜しを手伝うことになってしまう。
★★★
確かに見終わった後で前半部分を思い返すと、ああ、なるほど、素晴らしくよく練られた構成だなあと感心するんだけど、もう一つピンとこないのは、見ている僕の集中力のなさというか、アルツハイマー化のせいなのか。結局、もう一回、観て来いということなのか。役者さんは見ていて安心できました。
「チャーリー・ウィルソンズ・ウォー」
下院議員チャーリーは、酒と女が好きなお気楽政治家。しかし、その内面では、平和を愛するゆるぎない心を持ち、ソ連の攻撃に苦しむアフガニスタンを常に気にしていた。国防歳出小委員会がアフガニスタン支援に500万ドルしか用意していない事を知ると、委員会のメンバーである彼は、予算を倍にするよう指示する。そこに、テキサスで6番目の富豪で、反共産主義者のジョアンが目をつけ、アフガニスタンを救うよう彼に訴える。
★★
結局、何を描きたかったのか演出があやふやでよく分からなくなる映画に感じた。マイク・ニコルズって「卒業」や「愛の狩人」以外(つまり70年初頭以降)、たいした映画を作っていないのではないか、というか俺には相性が悪い。
映画としては、このチャーリー・ウィルソンという政治家を肯定的に描いている。つまり、発端はアフガンの人々を救いたいと言う善意で、この政治家が走り回る。そして、当時の政治状況からすれば奇跡に近いとことをやってのけたおかげで、ソ連のアフガン侵攻は挫折せしめられたのだと。しかし、その後のフォローがおろそかだったために、反米のl国になってしまったのだと。そういう悲劇を含めた、ある政治家の行動を面白おかしく描いたのだと。
たいていの中庸政治路線のアメリカ人ならそれで納得だろうけど、アメリカ以外でこの映画を見ると、おい、そんな能天気なことで納得しちゃっていいのかよ? どこまで神経が麻痺してしまってんだよ? と頭を傾げてしまうのだった。というか、腹立たしくなってしまうのだった。ほんとにいいのかよ?